先週末はついにフジロック2022が開催されましたが、皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか。
かく言う私は、初日のVampire Weekendには開始早々の音響トラブルにも腐らずに、おおらかな人柄が透けて見えるような神対応とライブパフォーマンスに感動。
二日目はJack Whiteの存在感に圧倒されながらも、コーネリアスの復活劇を同時試聴で見守るという反則技を使い、三日目はKROIによる圧巻のセッションとグルーヴで、文字通り脳が焼けてしまいそうなくらいの多幸感とアドレナリンが大放出、という感じで3日間、おうちフジロックを堪能しておりました。
そんな祭りの後、極度の虚無感に苛まれながらもできるだけ切り替えて、今週の新曲レビューを始めていくとしよう。
Free Free Free feat.幾田りら / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
最初に紹介する楽曲は、恐らく皆さんも注目していたであろう、この新曲を。
まず、東京スカパラダイスオーケストラ側からのオファーで実現したこのコラボ自体に感謝しかないのだが、あくまで東京スカパラダイスオーケストラが得意とするハイテンションなスカサウンドに対して、強靭かつ伸びやかに歌い上げる幾田りらの歌唱力は圧巻の一言に尽きる。
そんなボーカルを強調するかのように、昨今の情勢を想起させる言葉を挟んだり、単語の連発でアクセントをつけたりと、自由な言葉選びが感じられる歌詞は意外にも谷中敦によるもので、YOASOBIのIKURAではなく、幾田りら個人として臨んだ彼女の気概に見事に応えている。
※「冴えまくりポテンシャル」なんて歌わせるのだから、初めから期待しかしてないやん。
MVもコンセプチュアルで、鬱屈とした日々からの脱却を見事に表現している。
前半は豪華なインテリアに囲まれながらも、スカパラの面々とは透明の壁越しでしかセッションできず、動き回る程度の自由はあるが、何処か情熱を持て余しているような印象。
そして、幾田りらが隔離されたような場面へと移行し、そこでは最早リモートでしか繋がれず、ハードな音像に反して内面の窮屈さが強調されていく。
しかし、遮るもの全てが取り払われて飛び上がった瞬間、抑えてた感情を爆発させるかのように、それぞれが情熱的に吹き、弾き、叩き、歌う。
これが自由なんだと言わんばかりの演奏シーンに年甲斐もなく胸が熱くなってしまった。
この曲を苗場で見たかった…なんていうのは最早野暮ってもの。ただ聴くべし。
ふぞろい feat. Tani Yuuki & ひとみ from あたらよ
続いては、音楽プロデューサー・蔦谷好位置によるプロジェクト『KERENMI (ケレンミ)』の新曲を紹介。
今回、この曲に参加したTani Yuukiは、TikTokやYouTubeを中心に活動する23歳のシンガー/ソングライターで、日常の恋愛に焦点を合わせた楽曲が若者に絶大に支持されており、今年のFNS歌謡祭に出演していたことも記憶に新しい。
一方のあたらよは、2019年に結成された4人組バンドで、キャッチコピーは「悲しみをたべて育つバンド。」グループ名の「あたらよ」は”明けるのが惜しいほど美しい夜”という意味の「可惜夜」 (あたらよ)から由来している(公式HPより引用)。
そんなお二方を客演に迎えたのだから、当然ラブソングだよね…と高を括って聴いたのだが、冒頭では予想通りのチルでミニマムな音像が、サビに突入した途端にガラリと変わり、予想の斜め上を行くようなダンサブルなサウンドに驚いてしまう。
なるほど…これがケレンミ(粋な演出)ってやつか。
全体として、決して奇をてらった手法を用いていないように見えるにも関わらず、これほどまでに意外性を盛り込めるなんて…やっぱすごいな、蔦谷好位置。
Penthouse – 雨宿り
最後に紹介する楽曲は、先日のフジロックでの演奏が凄まじかったcateenこと角野隼人が所属するバンド、Penthouseがリリースしたコチラ。
やはり角野隼人による、卓越したピアノプレイが一際耳を引き、それだけでも十分に聴いていられるのだが、この楽曲はそれ以上に次から次へと転調していくメロディが素晴らしく、そのどれもがスムーズに移行していることで抜群に聴きやすくなっている。
先程のKERENMIにも言えることだが、音楽偏差値がめっちゃ高いなあ(もしそんなものがあるならば)…となんだか圧倒されてしまった。聴く専門なので全く問題ありませんがww
ありきたりなJ-POPに食傷気味の方へ、処方箋として出してあげたい。
あとがき
今週も、リリースされた新曲の中から個人的に気に入った楽曲を紹介していきました。
大方の予想通り、フジロックに引っ張られた選曲になってしまったことは否めないが、それぞれ本当におすすめできる楽曲なので、是非一度聴いてみてください。
それでは、また。
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