Arctic Monkeys – The Car
まずは、約4年振りとなるニューアルバム「The Car」をリリースしたArctic Monkeysから一曲、というかアルバム丸ごと紹介させていただく。
前作から地続きとなる世界観で構築された、自分達が生まれていない筈の古き良き時代(1970年前半あたり)から享楽的な部分のみを抽出したような音像はどこかノスタルジーで、その現実味の無さはある種のファンタジーさえ感じさせる。
具体的には、ボーカルを主軸としたロックバラードに70年代のソウルやファンクの要素を掛け合わせたような、ゆっくりとしたテンポの余白すらも味わうような音楽…うまく言語できなくて恐縮だが、今では彼ら以外に誰も手を付けていない音楽であることは確かである。
とは言え、古のレコードを引っ張り出してきて音圧を上げただけのサウンドでは終わらせない、オーケストラを思わせる豊潤な音色からは、終わってしまった音楽をやっているように見えてその実、新しい挑戦結果を提示しているのではないか、とコチラが邪推してしまう程の熱量が感じられた。
さしずめ、米のJack White/英のArctic Monkeysと言ったところか。
トレンドなんて完全無視で自分達の好きなように音楽を奏でるなんてことは、有名になればなるほど、周りやファンの反応を意識せざるを得ない状況下に置かれる為実現しにくい傾向にあるのだが…もう彼らは世間からの評価から免れた存在なのかもしれない。
わかってくれとは言ってこない、しかし黙々と何かに熱中している姿を見ていると、こちらから興味を持って近づいてしまうような、そんな魅力に満ちたアルバム。
もっと知りたい、だから聴き込む。
オレンジスパイニクラブ – タイムトラベルメロン
続いて紹介するのは、オレンジスパイニクラブの新曲を。
オレンジスパイニクラブは2012年に茨城県で結成された4人組バンドで、パンクロックの影響をもろに感じさせる熱いライブ演奏が最大の魅力。
そんなオレンジスパイニクラブがリリースした新曲は、なんとドラマ「真相は耳の中」の主題歌に抜擢され、ますます今後の活躍が期待される。
楽曲構成はミディアムテンポのポップソングで、大人数でのコーラスワークやギターの鳴りが終始明るいムードを形作ってはいるが、歌詞では頭の上がらない人生に対する嘆きや諦めを吐露する様子が描かれており、表面的な印象とのコントラストがなんともパンク。
しかし曲の終盤には、一度は悲観したその現状を受け入れる心境に変化していき、コーラス無しの独唱で「グッバイ過去、それからあとはサンキュー」と歌い、ギターリフに託すかのようなラストは清々しいの一言に尽きる。
ロックというジャンルこそ同じだが、Arctic Monkeysとは真逆の立ち位置とも言える、実にわかりやすい楽曲という事で、選曲もコントラストを強めにしてみたが…いかがだろうか。
あとがき
今回は、2022年10月25日までにリリースされた新曲の中から個人的に気に入った楽曲を紹介していきました。
記事を読んで気になった楽曲があれば、是非一度試聴してみて下さい。
新しい音楽体験の一助になれば幸いです。
それでは、また。
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