長かった夏休みも終わりを迎え、子供たちが学校へ登校するのを見て、「ああ、今年の夏は終わったんだな」と若干しみじみしてしまった。
しかし、冷静になって思い返してみると、そもそも夏っぽいことなんて大してやってないことに気付く…感傷的な気分に浸る資格ないやん。
という訳で、この一週間でリリースされた新曲の中から個人的におすすめな楽曲を紹介していきます。
※楽曲紹介の巻末に、紹介したアーティスト関連のリンクを貼っていますので、記事を読んでより深堀したくなった方はそちらも是非チェックしてみて下さい。
Nulbarich – MAGIC WAYS (cover)
あのNulbarichが誰かのカバー曲を披露する日が来るとは思わなかった。
それも山下達郎の楽曲「MAGIC WAYS」とは!
この嬉しいリリースは、アジア各国のネオ・シティポップとも呼ぶべきアーティストが参加するイベント「AREA DIP」のキュレーターをボーカルのJQが務めるにあたり、ジャパニーズ・シティポップをNulbarichならではの視点で解釈し再構築してみるという企画でこの曲が選ばれたとのこと。
実際の楽曲はというと、全体的なピッチは速くなっており、ベースがより前に出てきてしっかりと聞こえるのに対して、ギターサウンドは控えめで、特徴の一つでもあるカッティング技法もあくまでアクセントとして機能させるに留めている。
この楽器単位での前進/後退により、トラップやベースミュージックを飲み込んだ「今」の音像に近づいているのだが、曲の印象がガラリと変わるほどの大幅なアレンジは加えられておらず、ボーカルのJQ曰く「バンドのフィルターを通した仕上がり」という範疇で成立しているように感じられて好印象。
きっと、山下達郎が歌う原曲が好きな人でも違和感なく聴くことができるだろう。
ちなみに「MAGIC WAYS」自体の紹介をすると、1984年にリリースされた映画のサウンドトラック(!)「BIG WAVE」のA面に収録されている楽曲で、数ある名盤/名曲の中からこの曲を選んだセンスこそがNulbarichらしさなんだよな、とニヤニヤしてしまった。
※直近のNulbarichのオリジナル曲のレビュー記事はコチラ。
STUTS – World’s End feat. Julia Wu, 5lack
続いて紹介するのは、STUTSがJulia Wuと5lackを客演に迎えたこちらの楽曲を。
冒頭から聞こえてくるJulia Wuの艶のある歌声と5lackの肩の力が抜けたラップが心地よく、その小気味よいリズムでのチルサウンドで終わると思いきやそこはSTUTS、一筋縄ではいかない。
3:35あたりで強めに叩かれたピアノを皮切りに急にリズムが狂いだし、そこからはまるでジャズの即興演奏を思わせるプレイに切り替わって、その唐突な変化はガタっと足場を外されたかのよう。
かと思えば、5lackが本領発揮とばかりに、その崩れたリズムをうまく乗りこなしてみせるラップを披露し、そのパフォーマンスは圧巻の一言につきる。
PCでの打ち込みで制作されているはずなのに妙に身体性を感じる不思議な楽曲だが、最近ジャズをよく聴く自分としてはこういった曲も面白いと思ったので一聴の価値あり。
あとがき
約2週間ぶりに新曲レビューを書きました。
どちらの曲もおすすめなので記事を読んで気になったという方は是非一度、聴いてみて下さい。
新しい音楽体験の一助になれば幸いです。
それでは、また。
コメント